総務省は、このほど令和4年度のふるさと納税の寄附額や寄附件数を公表しました。それによると、寄附額が前年度比16%増加し約9,654億円、受入件数は前年度比16.6%増加し約5,184万件でいずれも過去最高でした。特に寄附額が過去最高の金額となるのは3年連続で一兆円突破も目前の水準です。今回は令和4年度データを地域ごとに見るとともに、今後の当制度についても考えて行きたいと思います。
1.地域ごとのふるさと納税の寄附額など
最高寄附額の市町村は宮崎県都城市で195億9,300万円、次に北海道紋別市が194億3,300万円、北海道根室市が176億1,300万円と続きます。
また、ふるさと納税の利用拡大に伴い利用者が居住する自治体に収める住民税からの控除額も増大しています。令和4年度の寄附による住民税控除額は6,798億円、控除の適用者数は、891万人で、過去最高でした。なお、制度利用者が多い自治体ほど税収が減ります。令和5年度に最も税収が減るのは東京都内の1,689億円、市区町村別では横浜市の272億円でした。
2.「ふるさと納税」にたいする厳格化
総務省は返礼品競争の過熱を防ぐため、5割以下に抑えるという基準を設けており、加熱した自治体に改善を求める通知を出しています。総務省は19年に導入したふるさと納税の対象自治体を指定する制度で、返礼品調達費を寄附額の3割以下、全体の経費が寄附金額の5割を超えた自治体が2021年度に136に達するなど遵守されているとは言いがたい状況です。
3.今後
政府としても、ふるさと納税に対してより一段の厳格化を考えています。今後は返礼品調達費を全体の5割以下とするという基準お遵守のため、自治体が返礼品の内容等をグレードダウンしたり、返礼品は同じでも金額を上げたりするなどの動きが顕在化することもあり得ます。