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令和5年分路線価の傾向

By 10月 16, 2023No Comments

 国税庁は7月3日、相続税や贈与税の算定基準となる令和5年分の路線価(1月1日時点)を公表しました。全国約31万6千地点(標準宅地)の平均変動率は前年比で1.5%上昇し、新型コロナウイルスの影響が薄まった昨年に続き、2年連続で上昇しました。コロナ渦による入国制限が撤廃されるなど、商業活動の再開が反映された格好で、回復傾向が鮮明になりました。

 今回は令和5年分路線価の動向を検討するとともに、その背景も考えてみたいと思います。

1.都道府県ごとに見る路線価の変動

 都道府県別の変動率をみると、上昇したのは47のうち25の都道府県でした。トップは北海道の6.8%で、北海道新幹線の延伸への期待感や、札幌市の再開発事業が要因とみられています。商業地が活発化した福岡4.5%、宅地の需要が高まっている宮城4.4%、東京や沖縄でも3%を超える上昇率となりました。下落したのは20県で、和歌山の1.2%が最大でしたが、下落幅は福井の1%を除き、いずれも縮小しました。

 最高路線価1位は相変わらず東京都中央区銀座5丁目中央通りで38年連続のトップです。前年比1.1%の上昇です。

2.背景

 令和5年地価公示においては、新型コロナの影響で弱含んでいた地価は、ウィズコロナの下で、景気が緩やかに持ち直している中、地域や用途などにより差があるものの、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるなど、コロナ前への回復傾向が顕著となりました。とりわけ、商業地や観光地の回復が顕著でした。現在、コロナ渦の行動制限が撤廃され、観光客も戻り、それに伴って百貨店の売り上げなどもかなり回復してきています。こうした状況を背景に、商業地については堅調に回復しており、外国人観光客がかなり戻ってきているので、観光地も伸びています。