国税庁はこのほど、令和4事務年度(4年7月~5年6月)の法人税等の調査事績を公表しました。それによると法人税等・消費税の実施調査件数は、前年度比52.3%増の6万2,000件と大きく増加しましたが、新型コロナウイルス前と比べると、37.3%減少となり依然として低い件数でありました。一方で、法人税等の追徴課税額は、同39.8%増の3,225億円で過去最高となりました。これについて同庁は、「AI・データ分析の活用により調査必要度の高い法人を適格に絞り込み厳正な調査をした結果」としています。
①法人税等の実施調査状況
法人税等の実施調査を行い、非違があった件数は前年度比48.8%増の4万7,000件でした。このうち不正計算があったのものが同38.6%増の1万3,000件であり、法人税の申告漏れ所得金額は同29.4%増の7,801億円となりました。このうち不正所得金額は同24.3%増の2,744億円で、追徴課税額は同29.9%増の1,868億円でした。また、税務署等において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請する簡易な接触事績について6万6千件の法人に対して実施しました。その結果、申告漏れ所得金額は前年度比11.2%減の78億円、追徴税額は同32%減の71億円となっています。いずれも減少しました。
なお、調査1件当たりに要した日数は、15.3日で所轄別にみると税務署所管法人が12.5日、調査課所管法人が126.4日でした。
②積極的な調査の実施
国税庁では、これまでに引き続き「消費税不正還付」「海外取引法人」「無申告法人」などに対して積極的な調査を実施しました。とくに海外取引に係る申告漏れ所得は総額2,259億円で、増加する輸出入取引や海外投資を行う法人については、課税上の問題点を幅広く把握し、厳正な調査を実施しました。