■制度の概要
相続時精算課税制度は、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度で、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対して、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
特定贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税適用財産の贈与時の価額(令和6年1月1日以後の贈与により取得した相続時精算課税適用財産については、贈与を受けた年分ごとに、その相続時精算課税適用財産の贈与時の価額の合計額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額)を加算して相続税額を計算することになります。
■選択手続き
この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に一定の書類を添付した「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
この制度は贈与者(父母または祖父母など)ごとに選択できますが、一度選択すると、その選択に係る贈与者(特定贈与者)から贈与を受ける相続時精算課税適用財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、通常の暦年課税へ変更することはできません。
■適用対象者
贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母など、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人または孫とされています。
なお、適用対象財産について、その種類、金額、贈与回数に制限はありません。
■贈与税額の計算
相続時精算課税適用財産については、その選択をした年分以後、特定贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。その贈与税の額は、特定贈与者ごとに、1年間に贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額の合計額(課税価格)から、相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を控除(令和 5年12月31日以前の贈与については、相続時精算課税に係る基礎控除額の控除はありません)し、特別控除額(限度額2,500万円。前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて計算します。
■相続税額の計算
相続時精算課税を選択した受贈者に係る相続税額は、特定贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して計算します。
その場合、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。